子育て中に読んだある有名な育児書に、『子供は一人一個ずつ大きな壺を持って生まれて来る。そこに少しずつ幸せをためていき、壺いっぱいに幸せがつめ込まれたら、その壺を持って一人歩きして行ける。』といった内容のことが書かれていました。
この文章を読んだ時、私は自分の子供にも生徒さん達にも、この壺があふれるほどの幸せで満たされることを願いました。
親が子供に注ぐ無償の愛情から始まり、その壺を満たすものは様々あると思いますが、音楽は間違いなくそのひとつだと思います。
当教室では、演奏を通してのびのびと自己表現すること、アンサンブルで人と音楽を共有する喜び、音楽好きの仲間が集まって心を通わせること、美しい音楽から得る感動の瞬間、そういった幸せを感じるひと時を大切にしております。
それらの幸せな瞬間瞬間が、心を豊かにはぐくむものだと思っております。
昨今、弦楽器を習うお子さんが減っているそうですね。理由は、基礎練習ばかりでなかなか曲が弾けるようにならないから、だとか。
色々なことが素速く出来て、どんどん便利になって行く世の中だけに、簡単に結果が出るものが好まれがちなのでしょうか。
ピアノは、ポンと鍵盤を触ればすぐに音は鳴るため、弦楽器よりは取っ付きやすいのでしょう、また、脳トレのために始めるシニア世代の方々が昔よりもいらっしゃるおかげで、ピアノ人口はそれほど減ってはいないそうですが、しかし楽器というものは、どれも地道な努力無くして上手く演奏出来るようにはなりません。勉強やスポーツと同じで、毎日コツコツと努力を重ねることが必要不可欠です。
日々のピアノの練習を通して、音楽を楽しむ喜びと共に、地道にねばり強く物事に向き合う姿勢を育てたいと思っております。
スポーツの場合、日頃の鍛錬に加えて試合本番を経験することで、より一層精神力が養われると思いますが、音楽の場合それに当てはまるのが、人前で演奏することです。
人前での一回の本番は100時間の練習に匹敵するくらい、集中力と精神力が養われると思います。
当教室では、小さな練習会から大きなコンサートまで、人前で演奏する機会を大切にしております。
舞台の上にたった一人で全てをコントロールする精神力は、個々の成長と共に人生の要所要所で大きな力を発揮することと思います。